夢の残像、思考の欠片

泡のように儚く消える私の日常と、思いつき。

海に包まれて。

今日は、久しぶりに海に行って来た。

 

短時間だけ沖に出て、風と波と夏の終わりを感じて来た。

 

海辺の町で育ち、ずっと海と離れずに生きてきたから、海は特別な場所。

 

自然の海はときどき猛烈に厳しくて、これまで何回も死にかかったけど、不思議とぎりぎり生き延びた。

 

私は、海に生かされてきたと思う。

 

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あなたと一緒に、一度だけ海に行った。あの頃は、輝く未来が永遠に続くんじゃないかと無邪気に思っていた。

 

水が怖くて少し怯えるあなたの声と表情、あなたと繋いだ手。ずっと守りたいと思った。

 

でも、あの海が、私とあなたを歓迎してくれたのかはわからない。

 

ほどなくして、私たちは別れた。

 

私は、あなたを守れなかった。

 

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久しぶりの海は、どんなふうに迎えてくれるかと思ったけど、無表情だった。

 

気持ちいいとか、やっぱこれだねとか思わせてくれないし、おかえりなさいとか言ってくれなかった。

 

ときどき思う。

 

私は、たまに海で死にかけるのだけど、いつかボタンの掛け違いのように、あっさり死ぬのではないかと。

 

そのとき、海は、私を迎えて、包んでくれるのだろう。